産婦人科実習
2001年12月4日先週と先々週は産婦人科の病院実習で泊り込みで行って来ました。
そこで2つのお産と1つの死産(しかも40週で)それに数え切れないほどの子宮全摘手術を見てきました
執刀医とオレの二人でやった卵巣全摘手術もあったんだよ〜
そこで見たやばかった手術を1つ。
その患者さんは子宮体癌で子宮全摘手術の方だったんです。
12時にオペ開始で16時に終了のごく普通のオペ・・のはずだったんだけれど。
子宮を剥離したのが14時。この時点では出血量は500ccもなくて、いよいよ周りの転移の恐れのあるリンパ節の摘出をしようかと言う時に、どうも見ていて様子がおかしいんだ、患者さんの内腸骨静脈の出血が止まってない。
普通は血管を糸で結んだら止まるはすなのに3回4回結んでも止まらないんです。
そうやって執刀医がその静脈をいじっているうちに、あれよあれよという間に3リットルも出血してしまったの。
そのとき麻酔医の先生が「先生!!心臓がさっきから3回も止まりかけてます」と叫んだんです。
つまり心室細動。
そこで執刀医はまず「部長呼んで」←産婦人科の上司の事
でもここで部長は外来診察を理由に断るんですよ。
そのままどうしようもなくなった執刀医は「きついな〜きついな〜」を連発しながら格闘する事30分。
出血量は7000ccを越えしびれを切らした麻酔医の先生が「胸部外科の先生を呼びましょう」って提案したんです。
外科系は「脳外科」「胸部外科」「消化器外科」「一般外科」等々に専門化が進んでて中でも胸部外科は血管のスペシャリスト集団なんです。
結局胸部外科に手伝いを求める事になったんです。
そして新たに2人の胸部外科医を加えて新体制でオペ再開、オレはこの時点でお役ゴメンで見学に回ったんです。
この時オペ室はとても慌しくなっていて、やれ輸血だ、輸液だ、と血液センターに電話して血液を大量に注文してました
はじめは5人くらいの手術スタッフもこの時点で20人を超えてました。産婦人科の部長もこの時点でやっと登場。遅すぎる!
おれも輸血するオペ自体初めてだったし、かなり緊張してどうなるんだろうって言う興奮がありました。
先生達もしばらく血管の出血部位を特定しようと頑張ってたみたいだけど出血量が半端じゃなくって
とうとう一回目の心停止が起こったんです。
麻酔医の先生が出番だとばかりに患者さんに胸の上から拳を下ろしての人工マッサージ。
そのあと除細動機で電気ショックを与えて一回目は心臓を覚せいさせる事に成功したんです。
しかし心臓が戻っても出血が止まるわけでは無し。この時点でゆうに20リットルは出血していたと思います。
そのあと胸部外科の先生の提案で「総腸骨動脈を遮断→静脈環流量を抑える→出血を一時的に止め視野を確保→出血静脈を縫う」作戦が決まって実行に移ろうかというそのときに二回目の心停止に陥ったんです。
ここで「もうだめか・・」という諦めムードが漂ったのは確かでした。でも一人諦めなかったのが麻酔科医。
輸血の点滴をなぎ払い患者さんの上に立つと心臓マッサージを始めたんです。途中若い麻酔科医に代わったけれど二人の心臓マッサージのトータル時間は10分にもなったんです。心臓マッサージってすごく疲れるんですよね。一分でもバテる。それをし続けた麻酔科医のおかげでなんと二度目もその患者さんは生き返ったんです!
そしてそのあとは、作戦どおりに事を運んだ血管のプロ、胸外科医の力で何とか患者さんの出血を止める事が出来たんです。総腸骨動脈を止めるという事は下肢に血流が全く行かなくなるという事。15分以上の虚血は危険。その限られた15分という時間の中で仕事を完成させた胸外科医の職人技には頭が下がりました。
この時点で時間は夜の9時。お腹を閉じて全てが終わったのは10時半だったんです。もうほんと疲れました。
・・・結局出血の原因の静脈は、癌転移があってボロボロでいじればいじるほど悪循環に陥ってしまったのではないかと言う事でした。3〜4箇所も縦に裂けていたらしいです。
そんでとーたる出血量が37リットル、輸血輸液あわせて40リットルを越えていたということでした。
恐るべし
やっぱり麻酔にしろ胸部外科にしろスペシャリストって言うのはそれだけの秀でたものを持っています。
あとで麻酔科医の人は「オレは今まで30人以上の心停止患者に会って来たけど自分の前で患者さんを死なせた事は一度もない」と誇らしげに語ってくれました。
そこで2つのお産と1つの死産(しかも40週で)それに数え切れないほどの子宮全摘手術を見てきました
執刀医とオレの二人でやった卵巣全摘手術もあったんだよ〜
そこで見たやばかった手術を1つ。
その患者さんは子宮体癌で子宮全摘手術の方だったんです。
12時にオペ開始で16時に終了のごく普通のオペ・・のはずだったんだけれど。
子宮を剥離したのが14時。この時点では出血量は500ccもなくて、いよいよ周りの転移の恐れのあるリンパ節の摘出をしようかと言う時に、どうも見ていて様子がおかしいんだ、患者さんの内腸骨静脈の出血が止まってない。
普通は血管を糸で結んだら止まるはすなのに3回4回結んでも止まらないんです。
そうやって執刀医がその静脈をいじっているうちに、あれよあれよという間に3リットルも出血してしまったの。
そのとき麻酔医の先生が「先生!!心臓がさっきから3回も止まりかけてます」と叫んだんです。
つまり心室細動。
そこで執刀医はまず「部長呼んで」←産婦人科の上司の事
でもここで部長は外来診察を理由に断るんですよ。
そのままどうしようもなくなった執刀医は「きついな〜きついな〜」を連発しながら格闘する事30分。
出血量は7000ccを越えしびれを切らした麻酔医の先生が「胸部外科の先生を呼びましょう」って提案したんです。
外科系は「脳外科」「胸部外科」「消化器外科」「一般外科」等々に専門化が進んでて中でも胸部外科は血管のスペシャリスト集団なんです。
結局胸部外科に手伝いを求める事になったんです。
そして新たに2人の胸部外科医を加えて新体制でオペ再開、オレはこの時点でお役ゴメンで見学に回ったんです。
この時オペ室はとても慌しくなっていて、やれ輸血だ、輸液だ、と血液センターに電話して血液を大量に注文してました
はじめは5人くらいの手術スタッフもこの時点で20人を超えてました。産婦人科の部長もこの時点でやっと登場。遅すぎる!
おれも輸血するオペ自体初めてだったし、かなり緊張してどうなるんだろうって言う興奮がありました。
先生達もしばらく血管の出血部位を特定しようと頑張ってたみたいだけど出血量が半端じゃなくって
とうとう一回目の心停止が起こったんです。
麻酔医の先生が出番だとばかりに患者さんに胸の上から拳を下ろしての人工マッサージ。
そのあと除細動機で電気ショックを与えて一回目は心臓を覚せいさせる事に成功したんです。
しかし心臓が戻っても出血が止まるわけでは無し。この時点でゆうに20リットルは出血していたと思います。
そのあと胸部外科の先生の提案で「総腸骨動脈を遮断→静脈環流量を抑える→出血を一時的に止め視野を確保→出血静脈を縫う」作戦が決まって実行に移ろうかというそのときに二回目の心停止に陥ったんです。
ここで「もうだめか・・」という諦めムードが漂ったのは確かでした。でも一人諦めなかったのが麻酔科医。
輸血の点滴をなぎ払い患者さんの上に立つと心臓マッサージを始めたんです。途中若い麻酔科医に代わったけれど二人の心臓マッサージのトータル時間は10分にもなったんです。心臓マッサージってすごく疲れるんですよね。一分でもバテる。それをし続けた麻酔科医のおかげでなんと二度目もその患者さんは生き返ったんです!
そしてそのあとは、作戦どおりに事を運んだ血管のプロ、胸外科医の力で何とか患者さんの出血を止める事が出来たんです。総腸骨動脈を止めるという事は下肢に血流が全く行かなくなるという事。15分以上の虚血は危険。その限られた15分という時間の中で仕事を完成させた胸外科医の職人技には頭が下がりました。
この時点で時間は夜の9時。お腹を閉じて全てが終わったのは10時半だったんです。もうほんと疲れました。
・・・結局出血の原因の静脈は、癌転移があってボロボロでいじればいじるほど悪循環に陥ってしまったのではないかと言う事でした。3〜4箇所も縦に裂けていたらしいです。
そんでとーたる出血量が37リットル、輸血輸液あわせて40リットルを越えていたということでした。
恐るべし
やっぱり麻酔にしろ胸部外科にしろスペシャリストって言うのはそれだけの秀でたものを持っています。
あとで麻酔科医の人は「オレは今まで30人以上の心停止患者に会って来たけど自分の前で患者さんを死なせた事は一度もない」と誇らしげに語ってくれました。
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